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こばと。 Ep.24 ~Fujimoto side~

こばと。 アニメ最終話の藤本視点固定バージョンです。
結構書くのが難しかったです・・・


アニメネタバレ含みます。

よろしければ続きからどうぞ~
 
 
 

  ―小鳩さんの願いは、変わってしまった…… でも、契約は変えられません―


 ―行くべきところに、行かなくてはなりません―



   ―さようなら―




  ―そして、桜は舞い…… 小鳩は消えていく―


   ―“大切な人”の記憶から…… 人々の“思い出”から―



  ―最初から… 誰もいなかったかのように―





 『こばと。』 Ep.24 ~Fujimoto Side~





朝… 小鳥がさえずる中、藤本は目を覚ました。

(何か変だな…)
静かな“いつも通り”の朝なのに、何か違和感を感じる…
その正体を探ろうとしていると…


“ドン”と隣の部屋から物音がした・・・




(ここ… “空き部屋”だった…よな?)
確かに物音がしたんだが…と藤本は首をかしげた。
何が起きているのか確かめようと、部屋の中の様子を探ろうとしたとき・・・

“ガチャ”と音をたててドアノブが回り・・・


 中から悲鳴と布団が飛び出してきた……


思わず受け止めると、布団の後ろには見覚えのある金髪… このアパートの管理人の双子の娘―三原千帆と三原千世がいた。
怪我をしていないか尋ねると、双子は

「ごめんなさい」
「お布団片づけにきたの」

と言った。
(布団って… 何で布団が空き部屋にあるんだ?)
この部屋は1年以上も空き部屋だったのに、布団があるなんておかしくないか? と疑問を抱くと、
「さあ?」
「ママも不思議なんだけどって言ってた」
…と声が返ってきた。

(どうも口に出していたようだな…)
朝からなんかぼんやりしているような気がする…
一度気を引き締め直そうと、藤本は息を一つついた・・・




どうにも危なっかしくて見てられないので、謎の布団を運んでやると、千歳さんと鉢合わせした。
自分の怪我を気にかける千歳さんに、もう大丈夫だと伝えると、双子の一人が
「ママ、それなに?」
と尋ねた。
すると千歳さんは……

「ああ… 入居者を募集しようと思って。 あのお部屋、清和くんが来る前からずっと空き部屋だし…… 人がいないとお部屋も傷むでしょう?」
「そうなんだ~」

「千歳さん。 たまに俺が部屋に風通ししたりしますから、しばらく…空けたままにしておきませんか?」

なぜかあの部屋に人を住まわせてはだめなような気がして… 自然と口が動いた。
どうして? と千歳さんは問い返してきたのだが…

(あれ…?)

なぜそんなことを思ったのか… 自分でも分からなかった・・・





月日は流れ… 久しぶりに大学に行った日……


昼食の時間に堂元が声をかけてきた。
ゼミに行っていない事や、授業に集中できていない事を気にしたらしい・
(相変わらずだな。 こいつ…)
大学で自分に話しかけてくる学生なんて、ほとんどいない。
もし話しかけてきても、大半のやつはすぐに話しかけなくなる。

「おまえ… なんか変だぞ。 気が抜けたっていうかさ…」
「別に…」

勉強に集中できないのは確かだが… こいつに言われる筋合いはない。
このまま聞き流していようと思ったとき、堂元が言ってきた。


「まあ…… “大切なもの”を失った事件だったからね……」


何かが引っかかった―


「あれから3ヶ月か…… 残念だったな、“保育園”」




(違う…)

保育園のことではない… 今考えていた、いや、考えようとしていたことは…


「ただ…」


保育園の記憶で、引っかかるものは……ある。


   何もない空間を掴んだ手―

   そこを見上げて楽しそうに笑う子供たち―


 何か掴めそうなのに… 掴めない…




「ただ?」

堂元が声をかけてきたことで、現実に引き戻されるまで…
藤本はずっと、考え続けていた…





 季節は巡る… 何かを置き去りにして……


ピザデリバリーのバイトをしていると、清花さんと、よもぎ保育園に通っていた園児たちに偶然会った。
清花さんの話によると、子供たちがよもぎ保育園を気にしていたから、連れてきたらしい…
今は、この現実を受け入れられる。
保育園がなくなってから1ヶ月ぐらい経った日に、保育園のあったところまで足を運んだ。
なぜかあの日、この現実を受け入れられるようになったのだ。


「藤本くん。 私ね… もう一度、よもぎ保育園を立ち上げようと思っているの」
清花さんの言ったことには驚いて顔を向けると、
「沖浦がね… 今度は、全力で助けるって言ってくれているの」
…と清花さんが笑顔で言った。
「良かったですね」
今は、心からこう言える。
沖浦の真意を清花さんに打ち明けた日… 朝早くから沖浦がやってきた。
しばらくして… 部屋から突然出てきた清花さんは、沖浦に本音を打ち明け、よりを戻すことになった。
あの時は、何か大切なものを失ったような気持ちになり、あげく事故にまであってしまったが……
今は、清花さんの幸せを願う気持ちだけが残っている。

「ありがと。 藤本くんもしっかりね」
「はい?」
突然話の方向を変えられ、戸惑うが…
「最近、学校で元気ないって、心配してたわよ」
(あいつか…)
この言葉で合点がいった。
こんなことを清花さんに言うのは… 堂元しかいない。
「堂元のやつ…」
9割方お節介だと… そして、少しだけ堂元に感謝した。

「一通り準備がすんだら、また… みんなで遠足にでも行きましょうか?」
「そうですね、みんなで…」

(みんな?)

清花さんと… 子供たちと… そして…

(何だ?)


 ―何か忘れているようなのに、思い出せない―


 ―鉄骨のきしむ音が… いやに大きく響いた―





 季節は巡る… 何が起きようとも…


帰り道… とつぜん空模様が怪しくなってきた…
(雨になりそうだな…)
急いで帰ることにすると、ほどなく雨が降り始めた。




アパートに着いた時には、もう土砂降りで…
急いで洗濯物を取り込んでいると、服のポケットから、何か光るものが落ちた。

(何だ… これは?)

一見すると小さなコンペイトウ… ただ、淡く光りを放っていた。

(見たこともない物だな…)

光るコンペイトウなんて、聞いたこともない… と不思議なものを見つめていると、


  ―突然、何かが頭のなかをよぎった―


 その物体が強い輝きを放った時、藤本の記憶の中に呼び起こされたものは・・・



   ―「藤本さん」と自分の名前を呼ぶ少女の声―

   ―自分と一緒に、余った芋を配りに行く少女の姿―

   ―怒った顔・笑う顔・涙を流す顔―

   ―「小鳩、頑張ります!」と一生懸命な声―

   ―そして、一緒に遠足に行き、写真を撮った少女―





(全部… 思い出した…)

少女の声も、姿も、表情も、名前も…

そして… 自分が少女をどう思っていたかも―


  ―全て―



(それなのに… 何で…)

“あの日”彼女が壁に貼った写真に… 小鳩の姿は無かった。

そして、隣の部屋… 彼女が住んでいた部屋にも、誰かが住んでいたという痕跡が無かった・・・





“彼女”のいない写真だけを持って、藤本は雨の中を走っていた……

時折、荒れた心を表すかのごとく、雷が落ちる……




始めに藤本が行ったのは、沖浦清花のいるところ…



写真を見せて「何であいつが写ってないんですか!」と言ったが、清花さんは……


「あいつって? ちゃんとみんな写っているじゃない」



もうそれ以上話を聞いていられなかった……




次に行ったのは、小鳩がバイトした洋菓子屋・チロル

そこでも「知らない」と言われてしまった・・・






(堂元のところにも、沖浦の下っ端の所にも行ったのに…)
誰も“あいつ”を覚えていない。

「何でだ… どうして… 誰もあいつのことを覚えてないんだ…」

そう呟くも、答えを教えてくれる人はいない……

ふと横に目を向けると…

(銀杏の木…)

新聞配達の最中に、倒れそうな木の側にいた―


(あの人!)

僅かな希望を抱いて、藤本は走り出した・・・





新聞を取り出していた彼女を呼び止め、話を聞こうとするが…

(どう聞けばいい?)

言葉が出てこない…



「今日は、新聞配達の御用では… なさそうですね」

琥珀がそう口にしたとき、藤本の中の希望が、少しだけ輝きを増した・・・





写真を見せ、そこに写っていた人物について尋ねる……

(この人はどうなんだ?)

他の人とは違う… でも、同じように忘れているかもしれない…

判決を待つ被告人のような心持ちで、藤本は琥珀の言葉を待っていた…




 「ええ。 覚えています」



(良かった…)
抱いたのは、ようやく小鳩を覚えている人に巡り会えた… という安心感。
そして…

「誰一人、あいつのことを覚えている人間がいなかったんだ… なのに、あなたはどうして?」

なぜこの人だけは覚えているのか… という疑問。
琥珀はその疑問には答えず、

「あなたがお聞きになりたいのは、そのことですか? 他にあるのでは?」

…と逆に問い返した。


確かに、この人がなぜ覚えているのかは気になる。 だが…

「教えてくれ。 あいつが消えたとき、確かに“行くべき所へ行かなくてはならない”って言ったんだ… どういう意味なんだ?」
「本当に真実をお知りになりたいのなら、どうか、これから話すことを驚かずに聞いてください。 よろしいですか?」
「ああ」
(あいつに何か事情があるなんていうことは、ずっと前から分かっていたし…)
 ―あいつの事を、少しでも多く知りたい―


琥珀は、藤本の返事を聞くとうなずき… 話し始めた・・・

そして分かったこと―


小鳩が、すでに命を失い… もう一度生まれ変わるために、試練を受けたこと―
“大切な人の側”に生まれ変わるため、試練を受けていたこと―
そして、心に残った言葉―


  ―たとえ、前世の記憶は失われていても… 再び巡り合い、心が惹かれるんです―

  ―魂の赴くままに道を進む限り… 何度でも… きっと―





 季節は巡る… そして… また“春”が来る…


あれから何年もの年月が過ぎ、藤本は弁護士事務所で働いていた・・・
先日裁判に勝訴した人が、弁護した吹田弁護士にお礼を言っているなか、藤本は書類の整理をしていた。
そうこうしている中、吹田弁護士が藤本に話しかけた。


「ああ、藤本君」
「はい?」
「後でで構わないから、机の上のファイルを見ておいてくれ。 ちょっと遠出になるんで、君に頼みたいんだ」
「はい」

吹田弁護士とは4年のつきあいになる。
(とりあえずこの書類の整理を終わらせないとな)
そう思って整理を続けていると、裁判所から電話がかかってきた・・・




その夜、無事に仕事を終え、弁護士事務所の近くにあるアパートで藤本はファイルを見直していた。
概要は…

依頼人が先日亡くなり、遺産を相続させることになったが、息子夫婦は既に死去していて、2年前に書かれた遺言書によると、遺産を全て孫に相続させることになっている。
しかし、不動産については土地の境界も曖昧なため、現地に行って調査する必要がある。

ということらしい。




翌日、いくつか電車を乗り継いで、現地に到着した。
のどかな田舎という感じで、住みやすそうな場所ではある。
地図と写真から、目的の家を探し出し、藤本は扉を開けた。


(古い家だな…)
もう何年も使われていないのだろうか。 電気のスイッチを押しても、どこも明るくなる様子がない。
孫もまだ到着していないようだ。
“やれやれ”という風にため息をついて、カーテンを引き、窓を開ける。
部屋の中に暖かな光が射し込み、外には桜や花が一面に咲いていた…


部屋の中に視線を戻すと、部屋の中心にピアノが置いてあった。
引き寄せられるように鍵盤に指を置くと―


―柔らかい… 懐かしい音が響いた―


(あいつがよく歌っていた… あの歌…)
その… 最初の音…



座り直し、あの日…自分に記憶を取り戻させたコンペイトウのようなものを、ハンカチに乗せてピアノの上に置き… 藤本は弾き始めた。
思い出のメロディを…




優しく… そしてどこか切ないような調べが… 部屋に流れる…


(目を閉じれば… 全て浮かんでくるのに…)

怒った顔… 一生懸命な顔… 嬉しそうな顔… 満足そうな顔… 
泣きそうな顔… 真剣な顔… 驚いた顔… 涙を堪えきれない顔…
 笑った顔…
表情も… 顔も… 鮮明に覚えているのに―




  ―肝心の彼女が、どこにもいない―




弾き終わった藤本の指に、桜の花びらが一枚…落ちた。
(弾き終わった後は…いつもこうなる)
“彼女がいない”という現実を突きつけられる。
(それでも…)
弾かずにはいられない。 彼女の事を思い出させてくれる、この歌を・・・



その調べを聞き、歌い出した少女の声が藤本の耳に届いたのは… 必然なのだろうか・・・





(まさかこんな形で再会することになるなんてな…)
幻聴ではないか…と疑い、それでもどこか確信があった藤本が、窓の外に目を向けると…
家の前の階段を上がってきた、“小鳩”の姿が見えた。
慌てて家を飛び出し、玄関先で彼女の姿を呆然と見ていると、小鳩が不思議そうに話しかけてきた。

「あの…」
「あ、すみません…」
「この家に… 何か御用でしょうか?」
(そうだ… 今は仕事中だ…)
仕事はきちんとやらなければと、自分を戒めた。
(それに… 恐らく…)
「遺産相続の件で伺いました。 弁護士事務所の、藤本です」
(こいつは…)

「弁護士事務所の方でしたか~ どうも初めまして」

「こちらこそ… 初めまして…」





(やっぱり… 何も覚えてないのか…)
覚悟していたとはいえ、衝撃は大きい。
でも、脳裏に浮かぶのは…


  ―たとえ、前世の記憶は失っていたとしても―

 琥珀という不思議な人の言葉と…

  ―藤本さんは… 私の大切な人です。 これまでも… これからも… ずっと―

 消えそうになる間際に… 小鳩が告げた言葉―



「ピアノ…」
目の前の“小鳩”が呟いた言葉が聞こえ、藤本は回想を中断した。
「ピアノ、お上手ですね」
「あ… 勝手に弾いてしまって… すみません」
「あの曲… なぜか私も知っているんです… 不思議ですね」
「そうですか…」

(不思議なんかじゃない)
“あの曲”は、小鳩が歌っていた歌なのだから……

「昔… 大切な人が歌ってくれた歌で… ずっと、その人のことを探していたんです」
「そうなんですか… 見つかるといいですね」
「…はい……」

(見つかるといいですね… か…)
まるで他人事のよう… いや、今の彼女にとっては“他人事”なのだろう。
(でも… 見つかった)
“大切な人”は、今、目の前にいる…

「それでは… 家の中を確認してもらえますか?」
「ああ、はい」





確認すべきことは全て終わり、後は手続きだけとなった。

「はい。 ありがとうございます」

帰る前に、もう一つだけやらなければならないことが残っている―

「それからこれも… あなたに返さないと」
「はい?」

そう言って彼女に差し出したのは、例のコンペイトウのようなもの。
なぜかは分からないが、これは彼女が持っていないといけないような気がした。

「コンペイトウ?」

不思議そうな小鳩に、藤本は言った……


「最後に、もう一度あの歌を歌ってくれませんか?」


これは、自分の願い……

彼女と出会えた今… どうしても聞きたかった―



 「はい!」



そう小鳩が笑顔で承諾し、曲が流れ始めた……




(やっと会えたんだな…)
後ろで歌う小鳩の声を聞きながら、藤本は実感した。
あの1年の記憶は失っていても、彼女はここにいる・・・

そして、曲が中盤にさしかかった時…
突然後ろで強い光が放たれ、小鳩の悲鳴が聞こえた・・・




光が収まり、何事もなかったかのように… 桜が散っていた。
(今のは一体…)
「あの… 大丈夫ですか?」

立ち上がり、彼女の無事を確認すると… 彼女が呟くのが聞こえた。

「そうだったんですね…」

小鳩は続ける…

「私の行きたい場所… 一番側にいたい人のいるところ…」

(まさか…)

「もし、もう一度会えるなら… 今度こそ笑顔でいようと思ったのですけど…」

(これじゃまるで…)
 ”願い”が―

「わたし… やっぱり駄目ですね」


「こばと?」


初めて呼んだ彼女の名… それを口に出すと、彼女は振り向いて…


「ただいまです!」


…と目に涙を浮かべながら言った。





(記憶が…戻ったのか…)
それは、自分の中でもう諦めかけていた… それでいて諦めきれなかった願い―
そして… 彼女との1年間の思い出が―戻ってきたことを示していた…




「何年も待たせやがって… 大遅刻だな」


よもぎ保育園で過ごした時のように… 小鳩に話しかけた。


そして… 小鳩の目から涙がこぼれ落ち…




 「藤本さぁぁん!!」







小鳩が藤本に抱きつき、泣き続ける・・・

そして藤本は、大切な存在を… 優しく抱きしめた……


 春の…暖かな日差しの中で………





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 ~後書き~
24話 ようやくUPできました。
結構書くのに時間かかってしまいましたね…
ようやく―の入力の仕方が分かったので(遅い)これから前のやつを書き直すかもしれません・・・
次どんなものを書くのかは… 後日発表予定です。

4月10日 修正しました。
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tag : こばと。 CLAMP 二次創作 小説

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プロフィール

starrealm

Author:starrealm
東京都在住の学生。
性別は男。

・趣味はネットでの小説探し
・甘党で甘党で辛いものは苦手
・綺麗なものが好き
・特に水や氷、星が好き


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