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「…遠い思い出。」

こばと。アニメ最終回後設定の小説です。
「…その後のふたり。」の後日(?)談です。
まだ読んでいない方は、こちらから。(リンク先の注意事項にはご注意下さい。別窓で開きます)

毎度の事ですが、ネタバレにはご注意を。


~概要~
登場するのはお二人さんだけ。
藤本視点で出来るだけ固定しました。

よろしければ追記から。
 
 
 
(こんなことってあるものなのか…?)

いくらなんでもありえないだろう…と藤本は心の中で呟いた。
彼の目の前には… 少し古びた感じの小さな木のドア・・・

(全く… こんなことなら…)

もっと早く―





「…遠い思い出。」





戻ってきた小鳩を抱きしめ… 長い時間が経った。
本音を言えば、ずっとこうしていたかったが…

(いつまでもこうしているわけにはいかないか…)

ここに来た目的は、あくまで“現地調査”
小鳩と再会し、彼女が記憶を取り戻した… など色々な事があったが、仕事をおろそかにするわけにはいかない。
調査に行く際に、「一日で十分です」と言ったことが、今更ながらに悔やまれる。

(まあ… 連絡先を聞いておけばいいか…)

こうして再会して、彼女に会えたのだから…
この辺りまでは少し遠めだが、休みの日ぐらいは来られるだろう。


藤本は名残惜しそうに小鳩から離れ、問いかけた。

「おまえ、今どこに住んでいるんだ?」

“きょとん”と一瞬不思議そうな顔をした小鳩は、少し悩んだあと… 答えた。

「丘木町という町です」





(丘木町?)

丘木町… その町のことはよく知っている。 それというのも…


(俺の住んでいる町に…?)

まさか彼女が自分と同じ町に住んでいるとは… とそこまで思考を進めて、あることに気がついた。

「おまえ、祖父の家に住んでいるんじゃないのか?」

丘木町とこの辺りは結構離れている。 古い家柄なら、この辺に家があるのが普通だと思っていたのだが…
どうも少し思っていたのとは事情が違うようだと、藤本は冷静に分析した。

「おじいさまの家はあるのですが… 私は別のところに住んでいるんです」



小鳩の話によると…

彼女の祖父が住んでいた家もこの辺りにあるのだが、近くに就職先が見つからなかったので、丘木町にあるアパートを借りて、今もそこに住んでいる。
この家は、前に家族で暮らしていた家で、親が亡くなってからは誰も住んでいない。

…ということらしい。



「おまえ、仕事しているのか?」
「藤本さんひどいです! 私だってちゃんと仕事しているんですよ!」
「おまえにつとまる仕事があるのか?」

ドジばかり踏む彼女を採用しようという企業はあるのだろうか… と藤本は小鳩に知られたら確実に頬を膨らませるであろうことを考えていた…


「きちんと保育士やっています! 今度は“お手伝い”じゃないんですよ!」


“私だって成長したんです”ということを力説する彼女…
それに対して藤本は、少し驚いていた。

(こいつ… 記憶を失ったのに…)
記憶を失って、保育士との関係性は無かったはずなのだが…
(ま、こいつには合っているかもな)
歌の腕前からして、歌手にもなれたかもしれないが、厳密なスケジュールに縛られるのは小鳩には合わないだろう。
いわゆる天職というやつなのかもしれない… と藤本は妙なところで感心していた。

(でもそうなると…)


「本当に俺と同じ町に住んでいるのか…」


小さく呟いたその言葉は、きちんと小鳩の耳に届いた。




 「え!? 藤本さんも丘木町に住んでいらっしゃるのですか!?」 




どうやら小鳩も、自分たちが同じ町に住んでいる…ということに驚いた様子で、大声をあげた。

「まあ… そうみたいだな」

本当は驚きと嬉しさが入り混じった感情を味わっているのだが…
何でもないかのように答える。
すると小鳩は… すごく嬉しそうに笑って、飛びついてきた―



 「お、おい!」



顔に熱が集まるのをはっきりと感じ、藤本は半分うわずった声をあげた。
だが小鳩は、離れようとはせずに…

「藤本さんと同じ町に住んでいるなんて…」

すごく、嬉しいです… と小鳩は続けた。



「まあな…」

当然ながら悪い気はしない…
彼女の頭の上に手を乗せ、語りかけた。

「それならとりあえず… 一緒に来るか?」

小鳩は少し驚いたように目を見開いたが、すぐに笑って「はい!」と答えた。





それから電車に乗って丘木町まで来て…
最寄り駅も同じだということで、弁護士事務所まで一緒にきた。
調査結果の書類を提出して…
今日の残りの仕事を出来るだけ急いで片づけ…
自分が住んでいる家の場所を教えようと、彼女を案内しているとき・・・


「ああっ!!」


突然小鳩が叫んで走り出した・・・
「お、おい!」
呼び止めても、彼女が止まる気配はなかった。

やがて彼女が止まったのは… 一軒のアパートの前。

(この建物がどうかしたのか?)

ボロボロ… ではないが、少し古びた感じのアパート。
何か特別な建物ではないようだが…

「やっぱり…」
「何がだ?」

その建物を見て… あまりよく感情の読みとれない声で呟いた小鳩に、藤本は問いかけた。
そして… その答えは―


「ここ… わたしの家なんです」


あまりに予想とかけ離れていた・・・





鍵も持っているから寄っていって下さい! と小鳩に誘われ、とりあえず家の中を見ることになった。

(こんな近くにあるのなら…)
どうして出会わなかったんだ… と藤本は心の中で呟いた。
藤本の家からここまでは、100mも離れていない。
強いて言うなら…
(弁護士事務所から逆方向… というだけだが…)
いつも藤本が買い物に行くスーパーも、弁護士事務所への道筋… つまり小鳩の家とは逆方向にある。
一度電器屋に行こうとした時もあったが、それも別の方向…
(もっと早くに会えたんじゃないのか…?)
とんだ偶然だ… と藤本は今更ながらに落ち込んだ。


「藤本さん、どうかなさいましたか?」

ずっと考えごとをしている自分を不思議に思ったのか、小鳩が心配そうに声をかけてきた。
「何でもない」
とりあえず大事なのは仮定の話なんかじゃなく今こうして彼女と一緒にいること―
同じような考えを持っているのかは分からないが、小鳩は純粋に藤本と家が近かったことを喜んでいるようだった。

「そうですか… では開けますね~」

そう明るく小鳩が言って、部屋への扉を開けた―





(何というか…)
第一印象……千歳さんのアパートに似ている。
小さなテーブル・ベッド・電話… その他生活に必要だと思われるものが揃っているのが、前彼女が暮らしていた部屋とは違うところだ。
(…まあ、悪くない部屋だな)
寧ろ、落ち着いた感じの良い部屋だ。

部屋に対する全体的なチェックを終え、視線を横に向けると…

(この写真…)


小さな子供達が写っている写真―
ただ、その顔は見覚えのあるものではなかった―


「丘木保育園の… 子供たちなんです…」

結構長いことその写真を見ていたのだろう…
小鳩が… どこか寂しそうな笑顔で… 話し始めた―

「いま勤めている保育園の…」
「園児か」
「…はい」

(何で辛そうなんだ…?)
まるで… 手の届かない遠くの物を見るような目…

「まだ1年間だけしか一緒に過ごしていませんが… 皆さんとてもいい人たちばかりです」


「よもぎ保育園のみなさんのように…」


よもぎ保育園―
前に小鳩が1年弱の間関わった… 思い出の場所―



「清花先生は… どうなされていらっしゃいますか?」
「元気だ。 それに、よもぎ保育園も再建された」

彼女があの保育園のことを気にしているのかと思った藤本は、小鳩を安心させようと言った。
「そうですか。 良かったです」
一時、小鳩の顔が明るくなったが、すぐに元の表情に戻ってしまった…
そして… 遠くを見るような目で呟いた…



「でも皆さんは… 覚えていらっしゃらないんですよね…」



(そう…だったな…)
清花さんも…園児達も…千歳さんも…
自分でさえ、一時は彼女のことを忘れてしまっていた…

―大切な人と“思い出”を共有できないつらさは、自分もよく知っている―



「いおりょぎさんが…言っていたんです」

コンペイトウ集めの期限が迫っても、よもぎ保育園に関わり続ける自分に…


―どんなにあの保育園の為に頑張ったって、そのことはあいつらの記憶からは消えちまうんだぞ―


そう言われた時には、それでもいいから… と思っていたけど―

いざなってみると… つらい…



顔を伏せて黙りこんでしまった小鳩…
その肩に手を置いて、藤本は言った。


「確かに… 覚えてないだろうが…」

それでも…

「お前があの一年間。 よもぎ保育園で過ごした…ということは、消えたりなんかしない」

たとえ記憶からなくなろうとも… 彼女と過ごした“一年間”は、自分の中に残っていた―


「それに、俺が覚えている」


あのコンペイトウのような… 不思議な“キセキ”が自分にもたらされた時―
自分の中に蘇った― “思い出”


「だから大丈夫だ」


―もう彼女だけに重荷を背負わせたりはしない―
前は自分のことだけしか考えられなかったが… 今度こそ―


自分と…彼女に誓うような… 強い言葉―

顔を上げた小鳩の目には… 光が戻っていた―



「ありがとうございます」



そういってもたれかかってきた彼女を軽く抱きしめながら…

藤本は穏やかな笑みを浮かべていた―





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 ~後書き~
お、遅くなりました…
なんか中盤が微妙になってしまったような気が… 加筆訂正するかもしれないです…
そういえば、今日は藤本さんのお誕生日だそうですね。
何も用意していませんが、おめでとうございます!

次回はいおりょぎさん登場予定?
少なくとも時間軸上では、次の話はいおりょぎさん登場予定です。
いつ書くのかは… この頃忙しいので未定・・・
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tag : こばと。 CLAMP 二次創作 小説

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東京都在住の学生。
性別は男。

・趣味はネットでの小説探し
・甘党で甘党で辛いものは苦手
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